2026.08.31
善福寺川の水害対策を考える。大切なのは「川」と「街」の両方の備え
このたびの大雨により、北陸各県をはじめ各地で大きな被害が発生しています。
被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。また、現在も避難生活を余儀なくされている皆さまのご安全と、一日も早い復旧・復興を心からお祈り申し上げます。復旧や救援にあたられている皆さまにも、深く敬意を表します。
杉並でも先日、ゲリラ豪雨による激しい雨が降りました。
善福寺川そのものは氾濫しなかった一方、荻窪2丁目などでは道路が冠水しました。
「環七地下調節池などがあるのに、なぜ道路が水につかるのか」「善福寺川の上流では、どのような水害対策が進められているのか」。
こうした声も聞きます。
今回は、杉並の水害対策について、改めて考えてみたいと思います。
かつて「暴れ川」と呼ばれた善福寺川では、これまで治水対策が進められてきました。神田川・環状七号線地下調節池や善福寺川調節池などの整備によって、川の水が堤防を越えてあふれる「外水氾濫」のリスクは大きく低減しています。
それでも、今回のように道路が冠水することがあります。
これは「内水氾濫」と呼ばれるものです。
短時間に非常に激しい雨が降ると、雨水を下水道などで処理しきれなくなり、道路や住宅地に水がたまります。特に地形的に雨水が集まりやすい場所では、そのリスクが高くなります。
つまり、川からあふれる水を防ぐ対策だけではなく、街の中に降った雨をどう排水するかという対策も必要なのです。
現在、東京都では「善福寺川上流地下調節池」の整備が進められています。約30万立方メートルの水を一時的に貯留する大規模な治水施設です。
この工事については、周辺の住民の皆さんから、樹木の伐採や工事による振動・騒音、家屋への影響、説明のあり方などについて不安の声も上がっています。
私は、水害から区民の命と暮らしを守ることと、地域の緑を守ることは、どちらか一方を選ぶ問題ではないと思っています。
必要な治水対策は着実に進める。
同時に、工事による影響を心配する住民の声にも丁寧に耳を傾ける。
その両方が大切です。
そして、今回のような内水氾濫への備えも急がなければなりません。
雨水貯留・浸透施設の拡充、下水道や雨水管の排水能力の向上、冠水しやすい場所の情報提供など、身近な対策を積み重ねていく必要があります。
ここで、これからの防災を考える上で大切にしたいのが、「フェーズフリー」という考え方です。
防災のためだけに特別なものを用意するのではなく、普段から使っている施設や仕組みを、災害時にも役立つものにしていく。
例えば、公園を普段は区民の憩いの場として利用しながら、災害時には避難や防災活動にも活用できる場所にする。雨水を貯めたり、浸透させたりする仕組みも、平常時の環境対策と災害時の浸水対策の両方につながります。
「普段の暮らしが、そのまま災害への備えになる」。
そんな発想を、これからの杉並のまちづくりにも取り入れていくことが重要だと思います。
巨大な地下調節池のような大規模インフラと、身近な排水対策、そして日常のまちづくり。
「川の治水」と「街の排水」を一体として考え、さらに平常時と災害時を分けない防災を進めていく。
それが、これからの杉並に必要な水害対策ではないでしょうか。
杉並には、善福寺川、神田川などの水辺と、緑豊かな住宅地があります。
だからこそ、自然と暮らしを守りながら、災害に強いまちをつくっていきたいと思います。
今回の豪雨を、「大変だった」で終わらせるのではなく、杉並の水害対策をさらに前へ進めるきっかけにしていきたい。
これからも地域の声をしっかり聞き、必要な対策について区や東京都に働きかけてまいります。